さくらすく│ロリポップ

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ロリポップ

 髪から漂うシャンプーの香りに誘われた。いつもと違うその香りが酷く挑発的で、御堂を虜にさせた。聞くとシャンプーを変えたと言う。たったそれだけで下着の中までも窮屈になっていた。
 そして激しいセックスをベッドの上で佐伯と共に堪能し、幾度となく快楽の波に飲まれては甘い刺激に身体を震わせた。
 まだ余韻が残っており、色香にあてられスーツ姿の御堂とは似つかわしいほどに、とろけた表情で煙草を吸う佐伯をベッドの中から見上げていた。
 暗闇で見る恋人の顔は、はっきりとした表情は見えない。だが、煙草を吸う姿はいつになくさまになっているように見えて胸が高鳴る。
「大丈夫か?」
 心配する素振りを見せられ僅かに首を横に振る。気怠い身体を起こして隣で煙草を吸う佐伯の膝に頭を乗せた。
 互いにまだ裸のままでバスローブを着るどころか羽織る気配がない。
 佐伯の腹に顔を近づけ臭いを嗅ぐ。
「まだ少しお前が足りない」
「満足するまでしたら明日の会議は欠席することになるが、それでもいいか?」
 明日行われる会議の為に資料の準備から多種多様な質問をされてもいいよう下準備もしてきた大事な会議だ。時間もそれなりに掛かった。それを体調不良で休むのは、御堂とて嫌だ。
 しかし淡い期待が心から離れない。
「それは困る。だが……もっと感じていたいんだ」
 ツンと鼻につく汗の臭いがきつく、さっきまで香っていたシャンプーの匂いは消えていた。それでも汗の臭いを嗅いで気持ちを高ぶらせる。
 シャンプーよりも魅力的な臭いに腹に赤い痕を残した。そして舌を這わせてちゅっと吸い付いて夢中になった。
「お客さんごっこをしていた頃が懐かしいですよ」
 くすくすと笑う声が聞こえる。
 佐伯が一人の時間を大切にするタイプだと思っていた御堂は、訪れる度にマンションのインターフォンを鳴らして入ってきていた。会社でもずっと一緒で互いに一人の時間も大切だと気を使いすぎて、渡されていた合い鍵が使えなかった。
 今でもその事は、はっきりと覚えている。覚えているからこそ、その時していた会話も思い出してしまう。
「毎回律儀にインターフォンを鳴らしてやって来て泊まらずに帰ったり……セックスだけして帰る、なんてこともありましたね」
 ドキドキと鼓動が早くなり、体温がまた上がり始める。頬がセックスの後とは思えないほどに熱く、耳までも赤く染めていた。
 しかし、そんな事に気付かずに佐伯は煙草を吸い続けている。
「君は知らないと思うが、あの頃は帰ると身体が火照って、無意識に君を求めて手が止まらなかった」
 腹から唇を離し、当時を思い出しながら隠していた痴態を晒す。
 会社から帰ると下半身が熱を帯びたように熱く下着を我慢汁で濡らしていた。我慢できずにスーツを着たまま興奮した身体を慰めた。時にはバイブを使い、バイブを佐伯のペニスだと思い込んでオナニーをした。
 快楽に弱い身体は、忽ちその刺激に落ちていき終わると罪悪感に駆られシャワーを水にして頭を冷やしていた。
 同棲はしたくてもこんな身体では、一日さえも持たない。もっと佐伯を求めて意識を失うまでセックスをして溺れるのを恐れたが、同棲をしてよかったと、今では素直に思っている。
「あの言葉は、そう言う意味も含んでいたのか」
「さあな。それより昔の私にばかり興味を持たないでくれ」
 楽しそうに話す佐伯に少しずつ苛立ち始め、怠い身体を起こして布団から出た。
 そして膝の上に座ると佐伯の唇を占領していた煙草を取り上げて口付けた。煙草の味が口内に広がり眉間に皺を寄せながら瞼を閉じて舌を絡めてがっつく。
 御堂の舌の動きに合わせて動く佐伯の舌が気持ちよく、互いの唾液が口の隙間より流れ落ちる。
 ゆっくりと唇を離して閉じていた瞼を開けた。優しげな瞳が佐伯の姿を捉えており、制御出来なくなる。
「煙草の味は嫌いじゃなかったか?」
 持っていた煙草を佐伯に取られ、そのままサイドテーブルに置いてあった灰皿へと行き火が消された。
 口の中は、煙草の味がして苦くてすぐにでも口を濯ぎたい。しかし、涎が垂れた唇を拭わずに御堂は口を開けた。
「少しは私のことを察したまえ」
 赤くなった顔を見られるのが嫌になり立ち上がろうと腰を浮かせた。
「昔を思い出して疼く、と言ったところですね」
 腰を掴まれそのまま下へと落とされ同じ位置に強制的に座らされ、抵抗するより先に佐伯と目が合った。
「孝典さん、挑発はここまでにして俺だけを見ろ。余裕があるように見えているようだが、俺は余裕がない」
 薄暗い室内でも間近にある佐伯の顔は、表情までも見えて急に恥ずかしくなる。視線を反らそうと思っても眼鏡がない佐伯から目を反らすことが出来ない。
「あなたと繋がっていたい気持ちは同じです。出来れば優しく抱いてあげたいと、いつも思わされているが、そうさせてくれないのは、孝典さんが俺を狂わせるからですよ」
 キスをした時に垂れた涎が目に入り、言葉を見失う。
「ですが、あなたに狂わされて本望だと思ってます」
「こ、このタイミングで言わないでくれたまえ。どうしたらいいのか……わからなくなる、じゃないか」
 見つめる佐伯の視線に感じ、恥じらいながらも呟いた。そして、ぎこちなく抱き付いて首筋に頭を埋めて臭いを嗅いだ。
 深く吸い込み汗の臭いとは、また違った臭いに恥じらっていた心が落ち着いていく。
「俺にこのまま身体を預けていればいい」
 掴まれていた腰から手が背へと回され、煙草の臭いに包まれながら、この甘いひとときに身を委ねた。



Fin
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