さくらすく│マシュマロ

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マシュマロ

 セックスの前後は、二人で風呂に入る。セックスをしない夜は二人で入らない。
 しかし例外な夜もある。御堂に触れたいと欲が出て気持ちが先走り、浴槽に湯を張りながら噛みつくようなキスをした。
「ふっ……んんぁ……っ。少しは加減しろ」
 唇を離した瞬間に、冷たい眼差しで射られる。怒っているというよりは、嫌がっているという感じだ。強引に浴室へ連れて行き、服を脱ぐ前にキスで口を塞いだからだろう。
「断る。加減するならあんたの方だ」
 腰に手を回して抱き寄せて密着する。
「そうは言っても君は、今、したいんじゃないだろう?」
 戸惑うことなく言い張る御堂にそんな事はないと胸の内で毒吐く。
 しかし、シャツのボタンを外されているのに気付いた。目を丸くするより、嘘を吐いているのは御堂だと見てわかった。
「どういう意味ですか」
「私に犯されたい……、違うか?」
 また何を言い出すのかと天井を仰ぎ見た。その間も御堂にシャツを脱がされていく。そしてベルトのバックルへと手が伸びたところで動きが止まった。
 年の差は七つ。その差を埋めようとする体力。ジムで汗を流す御堂は、年齢に劣らず体力は克哉と同等か、はたまた克哉よりやや上だった。
 デスクワークばかりの仕事で、体を動かす機会はセックスのときだけだ。
 そのセックスで、胸筋や腹筋を見せつけられ言葉をなくすこともある。日々、御堂の筋肉は衰えることがなく、年齢を感じさせない。しかし触り心地は、硬さを感じさせないのだ。
 毎日欠かさず風呂上がりに塗っているボディークリームのおかげか、乾燥した肌ではなく潤いを保っていた。
 弛んだ身体よりは、引き締まった身体のほうが御堂には合っている。さまざまな思いが入り混じったまま小さく溜息を吐いた。
「根拠は何だ? 言ってみろ」
 腰を支えている手に力を入れ直し、バックルを掴んだまま動かずにいる御堂をみた。すると悪意を匂わすような柔らかな笑みで笑われる。
「顔を見ればわかる。興奮から冷め止めない顔をしている」
 今、何を言ったのか。
 この男は、恋人に向かって何を言い出したのか。
 言っている意味がまったく解らない。口の端がひくりと引きつった。
「君は最近、私の体ばかり見過ぎだ。さっきも後ろから君の視線が痛かった。そして今は……」
 そこで言葉を切ると何か困ったような悲しげな顔をした。
「私に滅茶苦茶にされたくて欲求不満、といったところか」
 芝居としては、塩らしい芝居だ。しかし身体を見ていたのは、嘘ではない。リビングを行ったり来たりする御堂の後ろ姿を目で追っては、服の下にある身体に触れたいと思っていた。
「言葉には気をつけろ」
 御堂の態度に呆れていると首筋を舐められ、ぞくりとする。腰を支えていた手から一瞬力が抜けた。
「君に加減は必要ないじゃないか」
 そんな事さえ気にもしない御堂は、その反応をみて喉を鳴らして笑っていた。
「それなら試してみますか?」
「言われなくてもそのつもりだ」
 バックルから手が離れ、その手がボタンを外されたワイシャツの隙間より忍び込む。そして乳首を指先で摘まれた。
 セックスをする度に、御堂の乳首を弄るのが習慣なせいかとその行動をみて苦笑した。
 御堂からの愛撫は、今までに数回と数えるほどしか受けてこなかった。だから今、目の前での行為そのものが、新鮮でいて尚且つ、淫靡なものに映る。
 タチをしたことがないのかと思うような指の動きに、徐々に悪戯心が動き出す。
 腰を抱いていた手をゆっくりと下降していき、引き締まった形のいい尻を手のひらで撫で回した。手に吸い付いてくるような手触りに、早くもスラックスを脱がしたくなる。
「すぐに音を上げさせてやる」
 眉間に皺を刻むのを見逃さなかった。
 おとなしく抱かれる気は端からない克哉は、どうすれば御堂が静かになるか分かっている。分かっているだけに、複雑な気持ちにもなった。
「あんたが気持ち良くなっても最後までするつもりはない」
「ほう。言うようになったじゃないか」
 乳首をぎゅっと摘まれ、眉間に皺を寄せて痛みに耐える。
 触り心地がいい尻を揉んでは、撫で回す。そして尻の割れ目を探すように指を動かした。その動きに、さすがの御堂も動かなくなる。乳首を弄っていた手が離れた。
「さっきまでの威勢は何処へ行ったんですか? 俺を組み敷くみたいなことを言っていましたよね?」
 湯船に落ちる湯の音が互いの声を消しかける。
「うるさい。少し黙っていたまえ」
 目を細め思いきり睨まれた。間近でのその表情は、何ともそそるものがある。
 それを知っているのか挑発するように唇を舐められた。ねっとりと舐めて唾液で濡らしては、ちゅっと吸い付き、その音とともに激しさを増す。
 キスがしたいのかと思うような動きに愛しさが止まらなくなる。なんだかんだと口では言っても肉欲だけは、口よりも素直だった。
「んん……っ。ふぁ、ん……」
 ゆっくりと透明の糸を引いて唇が離れていく。
「我慢しなくても良いんですよ?」
 名残惜しそうな顔の御堂にぼそりと呟いた。犯したいというのは、ただの名目なのではないかと、上気した頬を見て思う。
「それは君もだ。おとなしく私に抱かれろ」
 しかし口だけは、体に似合わず食いついてくる。不満といった表情でこの場で上半身だけでなく下半身も狙われ、眼鏡を掛けていればまだ威厳くらいはあったが、口端を上げて笑った。
「キスだけでイキそうな御堂さんに言われたくないです。勝手に気持ちよくなるとは、お仕置きが必要だな」
 とろけた顔をした御堂が滑稽で、矛盾しているように映る。
 抱き寄せていた腰を身体に押し付けるようにして抱き直した。もっとこの状況を楽しみたい。
「そのキスでここをおっ勃てているようでは、まだまだ尻が青いな」
「いい加減に……!」
 腰を押さえつけたことにより、キスだけで半勃ちになったペニスを御堂に知られた。
 唇を吸われただけで股間が反応したことが悔しい。
「君が私の下でどんな顔をしてくれるのか楽しみだ」
 そんな克哉を見て御堂はくすりと笑った。
 キス一つで落ちる体にさせた男を恨みながら、触るだけの口付けをする。柔らかな御堂の唇が気持ちよくて瞼を閉じた。互いに舌を入れようとせず、啄むような甘いキスを何度も繰り返す。
 ほんの少しの甘い口付けだけで、二人の心は満たされていった。



Fin
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